
執筆者
さくらレディースクリニック
院長香林 正樹MASAKI Kobayashi

「中絶手術と流産手術は何が違うのだろう」「手術の方法は同じなのだろうか」
そのような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
どちらも子宮内の内容物を取り除く手術ですが、目的や背景が異なります。当院では流産手術の取り扱いは原則ございませんが、条件によっては行うこともございます。どちらの手術においても、患者様の身体的・精神的な負担を最小限に抑えることを大切にしています。
中絶手術(人工妊娠中絶)は、様々なご事情により妊娠の継続が難しい場合に、母体保護法に基づいて行われる手術です。母体保護法指定医のみが行うことができ、初期中絶手術としては妊娠12週未満までが対象となります(ただし当院では妊娠11週未満までが対象)。
当院の院長は母体保護法指定医の資格を持ち、これまでに数千件の中絶手術を行ってきた実績があります。手術を受けられる患者様の理由やご事情をお聞きすることはありません。プライバシーに配慮した対応を徹底しています。
流産手術(子宮内容除去術)は、自然流産が起きた際に、子宮内に残った組織を取り除くための手術です。稽留流産(けいりゅうりゅうざん:胎児の心拍が確認できなくなった状態)や不全流産(流産が完全に終わっていない状態)の場合に行われます。
流産は妊娠全体の約15%に起こるとされており、決して珍しいことではありません。自然に排出されるのを待つ方法もありますが、出血が続く場合や感染のリスクがある場合には手術が必要になることがあります。
中絶手術と流産手術は、目的は異なりますが、手術の方法自体は共通している部分が多くあります。どちらも子宮内の内容物を取り除く手術で、「子宮頸管拡張」という前処置を行った後、子宮内の組織を除去します。
当院では、両方の手術において安全性の高い「MVA法(手動真空吸引法)」を採用しています。MVA法は合併症が少なく、将来の妊娠への影響も少ないとされている手術方法です。
| 中絶手術 | 流産手術 | |
|---|---|---|
| 正式名称 | 人工妊娠中絶 | 子宮内容除去術 |
| 目的 | 妊娠の継続が難しい場合に、妊娠を終了させる | 自然流産後、子宮内に残った組織を取り除く |
| 対象となるケース | 様々なご事情により妊娠継続が困難な方 | 稽留流産・不全流産など |
| 法的要件 | 母体保護法指定医のみ実施可能 | 特になし |
| 対象週数 | 妊娠22週未満(初期手術は12週未満) | 流産が起きた時期による |
| 手術方法 | MVA法(手動真空吸引法)など | MVA法(手動真空吸引法)など |
| 前処置 | 子宮頸管拡張 | 子宮頸管拡張 |
| 術後の経過 | 出血・腹痛が数日から1~2週間程度 | 出血・腹痛が数日から1~2週間程度 |
※表は左右にスクロールして確認することができます。
当院では、手術における痛みへの配慮を徹底しております。
手術前に行う「子宮頸管拡張」という処置は、麻酔なしで行うことが一般的です。しかしこの処置の痛みがトラウマになる方も少なくありません。当院では、この前処置の段階から点滴麻酔を使用し、ほとんど眠っている状態で行います。患者様の年齢や体質に合わせて複数の麻酔薬を使い分けており、9割以上の方が「もう手術は終わったのですか」とおっしゃるほど、痛みの少ない手術を心がけています。
手術後は、出血や腹痛などの症状が数日から1~2週間程度続くことがあります。これは中絶手術・流産手術のどちらにも共通する経過です。術後の合併症(出血、感染など)は、安全に手術を行っても1%以下の確率で起こりうるものです。
当院では、万が一そのような症状が生じた場合にも、責任をもって対応いたします。術後の経過観察や必要に応じた追加の治療まで、継続してサポートする体制を整えています。
中絶手術を受けられる方と流産手術を受けられる方では、精神的な状況が異なる場合があります。流産を経験された方は、妊娠を望んでいた中での喪失感を抱えていらっしゃることが多いです。一方、中絶手術を選択された方も、様々な葛藤の中で決断されています。
当院では、どちらの場合においても、患者様のお気持ちに寄り添った対応を心がけています。診察の前後で疑問点がないかを必ず確認し、不安を残さずにお帰りいただけるよう努めています。
当院は、原則として流産手術は取り扱ってございませんが、条件によっては行うこともございます。流産手術においても中絶手術においても、MVA法の採用、麻酔下での前処置、術後のフォローアップ体制など、患者様の負担を軽減するための取り組みを行っています。
手術に関するご不安やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。