不妊症
妊娠を望む男女が避妊をしないでセックスをしていても一定期間妊娠できない状態を不妊症といいます。
その一定期間は一般的に1年とされていますが、排卵障害や精液異常など明らかな不妊原因があれば1年未満でも不妊症と診断できます。
日本生殖医学会生殖医療専門医の資格をもつ院長が、患者さん一人ひとりに適した検査・治療を提案いたします。
不妊症の原因
6組に1組のカップルが不妊に悩んでいると推測されています。
不妊治療は女性側の治療と思っていませんか?
この図のように、実は男性側に約半数の原因があります。
そのため、不妊症の検査は夫婦で受けて頂くことが重要です。
女性側の原因
卵管因子
過去の細菌感染などのせいで卵管がふさがり、精子が卵子までたどり着けない状態
排卵障害
女性ホルモンバランスに問題があり、卵胞が育たない・排卵が起こらない状態
子宮因子
子宮の奇形や子宮にできた腫瘍などのせいで、授精卵が着床できない状態
頸管因子
頸管粘液の量が少ない・粘度が高いなどのせいで、精子が子宮に侵入できない状態
子宮内膜症
子宮内膜が子宮内腔以外にも発生し、骨盤内に持続的に炎症を起こすことで、主に痛みと不妊を引き起こす病気。卵管にできると卵管性不妊となり、卵巣にできると卵胞発育が妨げられます。
男性側の原因
造精機能障害
精子が造られる過程でなんらかの問題がある状態で、男性側の原因の90%を占めます。
以下のような状態をいいます。
- 精子の数が少ない(乏精子症)
- 精子の運動率が低い(精子無力症)
- 精子が造られない(無精子症)
- 精索静脈瘤(精子を運ぶ管の周りの静脈異常によって、精子を造る機能が低下)
精路通過障害
過去の細菌感染や、過去の手術の影響で精子の通り道が閉塞している状態
不妊症の検査
不妊治療を行う前に不妊症の原因を特定し、治療方針を行うための検査を行います。
女性不妊の一般検査
初診時スクリーニング検査
・感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV)
・肝機能検査、腎機能検査
・末梢血検査
・凝固機能検査
・血液型検査(ABO、Rh)
・クラミジア採血(IgA抗体、IgG抗体)
風疹抗体
抗体低値の場合は妊娠に備えワクチン投与を行い、その後2カ月の避妊を要します。患者さんの希望時に行います。
甲状腺機能検査(TSH、FT4)
甲状腺機能異常は不妊症・流産・早産の原因となりえます。
AMH検査
AMHとは一般的に卵巣予備能を示すホルモンと考えられています。AMH 0であっても妊娠・出産例があるため、AMHが低いからといって妊娠できない訳ではありません。しかし卵巣の質を評価できることから、不妊治療の計画を立てていくにあたり非常に重要な検査です。
抗精子抗体検査
精子が子宮内に侵入するのを妨げる抗体です。不妊女性の10人に1人が持っており、血液検査で調べます。
基礎ホルモン検査
以下のホルモン値を計測し、卵巣機能などを確認します。
・低温期ホルモン検査(生理3~5日目);LH FSH E2 P4 PRL テストステロン
・高温期ホルモン検査(排卵後7~9日目);E2 P4
超音波検査
子宮や卵巣に異常がないかや、排卵の有無の確認などを行います。
男性不妊の一般検査
精液検査
2~5日の禁欲期間の後に精液を採取していただき検査します。精子の数や形態、運動率などを確認します。
感染症検査
B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV、淋病、クラミジア、淋病を検査します。
不妊症の治療
不妊治療は、ひとつの治療を行って妊娠しなければ次のステップの治療へと切り替えていきます。
これをステップアップといいます。
タイミング法 ⇒ 人工授精 ⇒ 体外受精 の順にステップアップします。
さくらレディースクリニックではタイミング法と人工授精を行います。
ステップアップを決めるのは主に3つの要素です。
- 不妊原因
- 不妊期間
- 患者さん(女性側)の年齢
これらの要素を組み合わせたうえで患者さんと相談し、タイミング法や人工授精の回数を決定していきます。
不妊治療は患者さんが精神的・身体的なストレスを感じることが非常に多いです。
ストレスが少しでも和らぐよう、必ず患者さんの希望する治療内容も確認しますので、治療方針を一緒に相談していきましょう。
治療法
タイミング療法
基礎体温や超音波検査などで卵胞の状態を確認し、妊娠しやすいタイミングで夫婦関係をもってもらう方法です。
精度の高いエコーで排卵日を的確に診断し、妊娠成立の可能性を上げます。必要時は排卵誘発剤も使用し、排卵のサポートも行います。
人工授精
タイミング療法と同じように、超音波検査などにより排卵日を予想し、妊娠しやすいタイミングで精子を子宮に送り込み受精させる方法です。
処置日当日に採取した精液を、精子専用の培養液で遠心・洗浄・濃縮操作を行うことで調整し、その濃縮精子を細く柔らかい管で子宮内に注入します。
必要時は排卵誘発剤も使用し、排卵のサポートも行います。