中絶手術後の体は、早い段階で排卵が再開することがあります。次の妊娠を望む時期が未定でも、まずは確実な避妊を整え、心身の回復を優先しましょう。ここでは術後に選べる避妊方法と、再妊娠に向けた準備についてご案内します。
術後に選べる主な避妊方法
希望時は、ご相談頂ければ術後の再受診時に最適な方法を一緒に選びます。開始可否は個別の体調や処置内容により異なるため、医師の指示を優先してください。
低用量ピル(OC)
【特徴】
毎日の内服で高い避妊効果。月経痛・月経量の軽減、月経前症候群の軽減も期待できます。
【開始時期】
術後の月経再開時から開始可。最初の7日間は追加避妊(コンドーム)推奨。
【注意点】
飲み忘れに弱い/喫煙・片頭痛の既往などにより、内服できない方もいます。
【副作用】
吐き気、軽い頭痛、不正出血などが一時的に出ることがあります。かなり稀に、血栓という命に関わる合併症が出ることもあります。
子宮内避妊具(IUD/IUS)
【特徴】
長期的にかなり高い避妊効果。IUDは銅付加、IUSは黄体ホルモン放出型で月経痛・月経量の軽減効果もあります。
【開始時期】
子宮内の回復を確認後(通常は月経再開後)に挿入可。
【注意点】
挿入時の痛み、稀に脱落・穿孔のリスク。定期的な位置確認が必要。
【副作用】
IUD 5〜10年/IUS 3〜5年(製品により異なります)。
コンドーム
【特徴】
容易に開始でき、性感染症予防にも有効。
【開始時期】
性行為再開時から即使用可。
【注意点】
使用方法により失敗率が変動するため、正しい使い方を確認しましょう。
緊急避妊(アフターピル)
【特徴】
避妊に失敗した可能性がある場合に使用。早い内服ほど有効性が高い。
【時期】
性行為後できるだけ早く(一般的に72時間以内推奨、種類により120時間まで適応あり)。
【注意点】
常用の避妊法ではないため、今後の継続的な方法を再診で相談してください。
その他
低用量・黄体ホルモン単剤ピル、避妊パッチ/リング(取り扱い可否は医療機関による)
自然避妊法(排卵予測)は、術後早期は不安定で推奨度低。
いつから排卵は再開する?
術後数週間で排卵が再開することがあります。生理が来る前でも妊娠する可能性があるため、性行為再開前に避妊法を準備しておくことが大切です。
再診で子宮の回復と感染がないことを確認し、再開の可否と避妊法を決めましょう。

再妊娠を希望される方へ
【心身の回復を優先】
十分な休息と鉄分・タンパク質中心の栄養補給を。
【タイミングの目安】
医師が子宮回復を確認した後、少なくとも1回の正常な月経を経てからの妊娠計画を推奨します(希望時は個別に指示します)。

生活習慣の整え
葉酸サプリの開始(妊娠を望む1〜2カ月前から)
禁煙・節酒、適正体重の維持、持病のコントロール(糖尿病・甲状腺など)
既往とリスクの確認:過去の妊娠・分娩歴、感染症、子宮の状態(筋腫・ポリープ等)を再診で評価します。

術後の性行為再開の目安と注意
【目安】
出血が完全に止まり、術後再診での診察で感染・残留のないことを確認後に再開可。
【注意】
性行為再開直後は、感染予防のためコンドーム併用を推奨。痛みや不快感がある場合は無理をせずご相談ください。

