気持ちのゆらぎに向き合う:グリーフケア

グリーフとは

中絶や流産、望まない妊娠の悩み、妊活の過程など、ライフイベントの中で心は大きく揺れ動き、これをグリーフ(喪失の痛み)といいます。

グリーフは、失ったもの(妊娠、身体の感覚、期待、役割、人間関係など)に対する自然な反応です。「悲しみ」だけでなく、安堵、罪悪感、怒り、空虚感、混乱、身体症状など多様に現れます。

この反応の状態に正解・不正解はありません。感じ方も回復のペースも、人それぞれです。

よくある感情とからだのサイン

・感情のゆらぎ
・急に涙が出る/泣けない
・罪悪感や自己否定、後悔
・安堵と悲しみが交互に来る
・周囲や過去の選択への怒り
・思考・行動の変化
・集中できない、物事を先送りしてしまう
・人と会いたくない/逆に忙しくしたくなる
・身体のサイン
・眠れない・寝すぎる
・食欲の増減、動悸、頭痛、倦怠感
・生理周期の変化やホルモンによる気分の揺れ

これらは「異常」ではなく自然な反応です。長引く・強まる場合はときに支援が必要となります。

グリーフに対するセルフケア

・3分の深呼吸
・軽いストレッチ
・温かい飲み物で体を落ち着かせる
・睡眠の土台づくり(起床・就寝時間を固定、画面は寝る1時間前にオフ)

専門的なサポートを頼るタイミング

次のような状況では、早めに専門の機関にご相談ください

・2週間以上強い抑うつ・不眠・過度の罪悪感が続く
・パニック症状、過呼吸、フラッシュバックが頻回に起きる
・日常生活(食事・衛生・仕事・学業)が維持できない
・自傷衝動や「消えたい」思いが強まる

受けられる支援

・当院心理士によるカウンセリング(対面/オンライン)
・医師による身体の不調の評価、必要に応じて精神科・心療内科と連携
・DV・性暴力被害、予期せぬ妊娠に関する外部支援機関への紹介

よくある質問

Q.いつ「元に戻る」のでしょうか?
A.回復のペースはひとによって異なります。日常を少しずつ取り戻す感覚が増え、つらさの波が和らいだと感じられれば回復徴候ありといえます。

Q.泣けないのはおかしいですか?
A.泣けない反応も自然です。体や心が守りのモードにあることがあります。安心・安全が整うと感情が動き始めることもあります。

Q.仕事や学業は休むべき?
A.可能なら短い休息を。復帰は段階的に。集中が必要な作業は午前に、午後は軽めなど配分を工夫しましょう。

Q.パートナーと感じ方が違い、衝突します。
A.「事実・感情・希望」を1分ずつ共有するミニ対話を。具体的な行動(週2回20分の散歩など)も有効です。

Q.将来また妊娠・出産を望むのが怖いです。
A.怖さは自然な反応です。身体の回復目安と計画的な避妊、必要な検査を確認しつつ、希望時は当院で心理的準備を支援します。

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