避妊方法の相談
「これ以上は子どもを授かりたくない」
「結婚予定だけど今はまだ妊娠したくない」
「パートナーがどうしてもコンドームをつけてくれない」
主にこのような理由で婦人科に避妊方法を相談される方が多いです。
手術を除く避妊方法として主なものは、以下の3つです。
1.コンドーム
コンドーム使用は、日本で最も一般的な避妊方法です。
しかしその避妊効果はわずか85%との報告もあり、これではコンドーム使用カップルの10人に1人以上が妊娠してしまいます。
避妊効果は低いものの非常に使用しやすく、性感染症(性病)の予防に役立ちます。
2.ピル(経口避妊薬)
飲み忘れることなく毎日きちんとピルを内服できていれば、99%以上の避妊効果があります。
排卵を抑える作用、精子の子宮内への侵入を防止する作用、受精卵が子宮内膜に着床するのを妨げる作用などによって妊娠を予防します。
また、避妊目的に長期間内服しても、内服を中止した後に妊娠しにくくなることはありません。
3.避妊リング(ミレーナ)
ミレーナは、子宮内に入れておくことで5年にわたって持続的に高い避妊効果が得られる避妊具であり、99%以上の避妊効果があります。
女性ホルモンの一種であるレボノルゲストレルを持続的に放出することで子宮内膜を薄くし、妊娠を予防します。
抜去後は約1ヶ月で正常子宮内膜が再生するため、抜去した後に妊娠しにくくなることはありません。
ミレーナとは
ミレーナ避妊リングは、女性ホルモンである「レボノルゲストレル」を5年間にわたって放出・維持する薬剤徐放システムです。この避妊リングは子宮内に装着して使用され、平成26年9月からは「過多月経」、平成26年11月からは「月経困難症」の治療薬として保険適用となりました。避妊手術を除く避妊方法の中で、最も高い避妊効果を持つことで知られています。
ミレーナの効果
- 月経困難症と過多月経の改善
ミレーナから放出される黄体ホルモン(レボノルゲストレル)によって、子宮内膜が薄くなり、月経量が減少し、月経痛などの症状が軽減されます。月経困難症や過多月経と診断される場合、ミレーナの使用が健康保険適用となります。 - 避妊効果
ミレーナは子宮内膜を薄くし、受精卵の着床を防ぎます。さらに、子宮の入口の粘液を変性させることで、精子の子宮内への侵入を阻止します。
これらの作用により、最長で5年間の高い避妊効果が持続します。
ミレーナの仕組み
ミレーナを子宮内に装着することで、黄体ホルモンであるレボノルゲストレルが持続的に放出されます。このホルモンは子宮内膜の増殖を抑制し、子宮内膜を薄くする効果があります。このため、経血の量が大幅に減少し、月経困難症や過多月経の症状の軽減が可能です。
避妊目的で使用する場合、子宮内膜の薄化により受精卵の着床を防ぎ、避妊効果を発揮します。
※ミレーナを避妊のために使用する場合には、保険は適用されません。
※月経困難症、過多月経と診断された場合には、ミレーナの使用に健康保険が適用されます。
ミレーナの適用・非適用のケース
ミレーナの装着を適用するケース
- 月経困難症や過多月経の改善を希望する方
- 低用量ピルが使用できない方
- コンドーム以外の避妊方法を検討している方
ミレーナが適用されないケース
- ミレーナの成分が体に合わない場合
- 月経期間以外の不正出血がある場合
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある場合
- 性感染症に感染しているか、過去3ヵ月以内に感染した場合
- 子宮内膜炎や卵管炎がある場合
- 過去3ヵ月以内に感染性流産・分娩後子宮内膜炎になった場合
- 子宮外妊娠の経験がある場合
- 重度の肝臓病や肝腫瘍がある場合
- 骨盤内炎症性疾患がある場合
- 膣炎や子宮頚管炎がある場合
- がんや黄体ホルモン依存性腫瘍がある場合
- 子宮の位置や形に異常がある場合
- 避妊リング使用時に強い痛みを経験した場合
ミレーナの装着方法と流れ
- 診察
医師による診察や性感染症の検査、超音波検査などを受け、ミレーナの適用が判断されます。適用となる場合、施術が行われます。 - 施術
月経開始日を1日目とし、月経終了前後にミレーナを子宮の入口から挿入します。この施術は数分で完了します。出産経験のない方は、子宮頚管の拡張が必要な場合があります。 - 定期検診
施術後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後に定期検診が行われます。その後は、装着から1年ごとに定期的な検診が行われます。
ミレーナのメリットとデメリット
メリット
- 月経量が減少し、月経痛が軽減されます。
- 最長5年間の効果が持続します。
- 1年以上使用する場合、ピルに比べて経済的です。
- リングを取り外せば妊娠が可能です。
デメリット
- 定期的な検診が必要です。
- まれにリングが自然に抜けることがあります。
- 出産経験のない方は、子宮頚管の拡張が必要な場合があります。
副作用とリスク
一部の方には、以下のような副作用が生じる可能性があります。
腹痛、月経の出血日数の増加、月経周期の変化、不正出血、一時的な卵巣のう腫
ごく稀に以下のような副作用が報告されています。
卵巣嚢胞破裂、子宮外妊娠、骨盤内炎症性疾患(PID)、穿孔
ミレーナの費用
項目 | 価格(税込) | |
---|---|---|
自費 | 主に避妊目的 | 46,000円 |
保険 | 月経困難、 月経過多が適応 | 約13,000円 (処置前の検査内容によって変動あり) |